Rouge Tea Party @Caltech

Caltechで理論物理の研究をしています。

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2015年11月と12月


さて、過去に遡って、11月と12月です。

11月1日から14日まではボストンに滞在していました。まずはブランダイス大学を訪問。こちらは元々はユダヤ系の大学として始まったとの事なのですが、ボストン郊外にあって紅葉の時期なのも重なって、とても美しいキャンパスに胸が躍りました。物理学科の大学院生は全部合わせても40人くらいだそうで、とても小さいけれどかわいいらしい感じの大学です。It from qubitプロジェクトのリーダーの1人であるHさんを訪ねました。

thumb_IMG_3969_1024.jpg

ブランダイス大学に到着してオフィスをあてがってもらって、いざ部屋に入ってみると、なぜかスタンフォードのS君が。いわく、今学期はボストンに居住して、MITとブランダイスに週の半分ずつ滞在しているとのこと。せっかくなので、ComplexityやRandomness、その他いろいろな事を議論しました。S君とはMITでの大学院生時代に一緒だったはずなのですが、当時はほとんど話した記憶がありません。今ではとても仲がいいのが、なんだかすごく不思議です。

週の後半からはMITに移動しました。セミナーもさせていただいたのですが、一番の目的はこちらの共著者と論文を完成させることだったので、ほとんどの時間を論文の執筆にあてていました。論文自体はちゃんと滞在中に完成して、arXivに投稿することができました。実は投稿しようと思っていた予定日の3日前に共著者の一人であるスタンフォードのQ氏が、Breakthrough Prizeを受賞する事になって、そのおかげで連絡がつきにくくなるというハプニング(?)がありました。それでも授賞式(?)が終わってからは、彼の睡眠以外の時間を論文の執筆に集中させる事に成功して、予定日に投稿することができました。

そんな感じで、大忙しなMIT滞在も終わり、帰宅しました。

一応、論文へのリンクを貼っておきます。
http://arxiv.org/abs/1511.04021
量子チャンネルの理論をブラックホールや量子熱力学に応用した論文で、キャッチーな言い方をするならば、Entanglement in Timeというものを考えています。量子カオスなどの勉強にとても役立つ、というかきちんと定義するのにも役立つかと思います。今世間を賑わせている(?)4点相関関数も、エントロピーで書き下すことにも成功しました。けっこう良い論文だと思うので、興味のある方は読んでみてください。

この研究自体は、KITP滞在中にMITの共同研究者D君とスタンフォードのQさんとやり始めたものです。物性論っぽい研究をしている時は、正直そんなに難しい科目でも無いので全部1人で出来てしまうケースが多かったんですが、重力は難しいので自然と他の研究者と共同研究することが必要になってきます。基本的に人見知りの激しい僕は、これくらい強制されないと人と共同研究できないので、そういう意味でも重力の研究は楽しいですね。それに、共著者がいると、僕はほとんど宣伝に時間を割かなくて良いのが素晴らしいですね・・・。

(物性理論に関しては、本質的に綺麗な理論を構築するのが難しい分野なので、量子情報理論がアタック出来るような問題はかなりやり尽くされている感がありますが、実際の物性の問題にはあまり相性は良く無いのかなと思います。)

thumb_IMG_3997_1024.jpg

ちなみに、旅行続きで洗濯が怪しくなってきたので、ボストンのユニクロでたくさん下着を買いました。北米におけるアジア系の住民の存在感は、無視できないものになっていて、ユニクロはそういった人々を主にターゲットにしている(もしくは、結果的にそうなっている)ようです。

戻ってきてからは、いろいろと残っていた仕事を片付けて、クリスマス休暇&子育てに備えました。QIPのレビューを仕上げるのにも時間がかかっていた気がします。そして、11月の最終週には東京へ向かいました。12月は、基本的には子育てをしていたのですが、その辺は書いても面白くは無いので割愛します。幸せな時間でした。

クリスマスの直前に4日ほど、上海の復旦大学でおこなわれた量子エンタングルに関する学会に参加させていただきました。1週間強にわたる学会だったのですが、娘との時間をマキシマイズしたかったので、ギリギリの日程を組みました。日本から(?)は、押川さん、堀田さん、Ryuさんが参加されていました。

参加者は物性理論、量子情報、素粒子から満遍なく選ばれていた感じでしたが、僕は物性理論に関連した量子コードに関する研究結果について発表しました。この一連の仕事は僕一人で書いた論文なのと、けっこう新しいテクニックなどをバンバン開発して勝手に解いちゃった感じがあって、コミュニティの人達にあまり認識されていないのが現状です。ちょっと悲しいですが、頑張って宣伝していくしかないですね。

といっても、このようなトポロジカル相関連の研究を続けていくべきかどうかは非常に迷う所です。実際、量子重力の研究は今が旬ですし、すでに分野のメインプレーヤーになっているわけですから、敢えてこちらをやる必要は無いわけです。それに先月MITでS君に会った時には、なんでトポロジカル相みたいにテクニカルな研究しているんだよ、さっさとやめて量子重力やろうぜ、と言われましたし・・。僕自身、良い(と自分が思うような)研究をしても特に反応の返ってこない物性論コミュニティには正直嫌気がさしている部分もありますし・・。それでも、まだやり残した事がある気がしますし・・。一方でやっぱり知識がすでにある分研究するのが楽という感覚はありますし・・。でも、そんなやる気の無い状態で他人に何を宣伝するのかという話ですし・・。その辺をどう判断すればいいかが難しい所です。

ただ、この一連の研究結果は、かなり良い仕事だというのは確信を持って言えます。後何年かすれば評価されるかもしれないですし、細かい事に一喜一憂しないことが大切でしょうね。

(そんな葛藤もあったので、あまりトークも準備しないまま望んでしまいました。その後、シドニーでも同じ内容を話したのですが、そちらではモチベーションを持ち直して完璧なトークができたのに・・・。)

Shanghai2.jpg

さて、上海の街なんですが、PM粒子がものすごく飛んでいて、視界は非常に不良でした。料理もあまり僕の舌には合わなかったです。北京や香港の方が料理は好きですね。それでも、中国には訪問するたびに人々の熱気に触れて、目の覚めるような思いがします。一つずつ努力して解決して、階段を1つずつ登って成功を手にしていくという姿を見てから東京に帰ると、このまま東京にいたらぬるま湯すぎて自分がダメになってしまうんじゃないかと思います。根本的な所で僕はlazyなので、自分にはある程度の競争と生活基盤のあるアメリカが合っているのかなというのが、導き出された結論でした。

ところで、上海空港から復旦大学までタクシーに乗ったんですが、運転手が居眠り運転で高速の壁にぶつかりそうになっていました。あれは本当に死ぬかと思いました。

そんな感じで、さーっと東京に戻ってきて、クリスマスにはケンタッキーを食べるなど、楽しい祝日を過ごしました。

年末には2日間だけ京都大学のFさんを訪問しました。いろいろな議論をして、たくさんのことを教えていただいたんですが、4点相関関数の実験に関しての議論が非常に刺激的でした。もしこれが実験的に実現できるのならば、非常にインパクトの大きい研究になるのでは無いかと思います。議論をしているうちに、やっぱり量子重力の事を考えているほうが、はるかにクリエイティブだし、はるかに重要な問題なのじゃないかという気がしてきて、なんとなく自分が正気に戻ったような感覚がしました。Fさんの新しい研究についても教えてもらいました。

その他には、空いている時間に学生のために、大学院出願の推薦状を書いたり、一緒に書いている論文の添削をしたりしていました。でも、メインは子育てでしたね。

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  1. 2016/05/01(日) 17:50:20|
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