Rouge Tea Party @Caltech

Caltechで理論物理の研究をしています。

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4月前半

さて、新しい論文をarXivに投稿しました。

http://arxiv.org/abs/1404.6311

この研究はそもそも、フラクタルなlattice上でmany-body physicsを研究するとどうなるか?というかなりナイーブな疑問から生まれたのですが、調べ始めてみると、この種の研究は1980年代初頭から行われていて、膨大な数の論文があることが分かりました。
けれど驚くべき事に、量子イジングモデルを研究している論文が一つも無くて、さらに、ちゃんとしたsecond-orderなQuantum Criticalityは見つかっていませんでした。
で、量子イジングモデルをフラクタルlattice上で研究してみると、ちゃんとQuantum Criticalityが出て来たという論文です。

僕にとっては数値計算の練習のつもりで開始した遊びのプロジェクトだったのですが、大昔に流行っていたテーマを、現代的な視点から研究してみると色々な事がわかるんだなあと思いました。知らなかったテクニックとかもたくさん学べて、非常に有意義でした。

一番大切な結果としては、フラクタル次元が2のlattice上での量子イジングと、普通の2次元lattice上での量子イジングでは、critical exponentの値が違ったということです。これは、Symmetryや空間次元だけではuniversality classが決定しないということを示唆しているようです。

Fig_lattice.jpg



以下の論文の著者が先週Caltechでセミナーをしてくれました。
http://arxiv.org/abs/1401.7087

D-Waveの「量子コンピューター」が、本当に量子コンピューターなのかという問いに対する、批判的な研究です。この問題の基本から始めて、どうして彼の古典モデルがD-Waveの実験結果を再現できるのかを詳しく解説してくれました。USCでD-Wave machineを使った実験をしているLidarもセミナーにやって来て、たくさんの質問が出て盛況なセミナーでした。

d_wave_one_system.jpg

発表者の滞在期間中、色々な議論をする機会があったのですが、本人はD-Waveの感情的な反応にうんざりしているのと、他の人(例えばD-waveで働いている人たち)の生活をdifficultにしている事に後ろめたさを覚えている、との事でした。


僕自身は、「D-Waveのマシンが量子コンピューターとして役に立たない」という点には99%くらいの確信があります。けれど同時に、「D-Waveのマシンが古典コンピューターとして役に立つ」のではないか?という風に思っています。

というのも、半年ほど前に、スピングラスの数値計算の論文を見つけたのですが。その論文の主張する所によると、スピングラス系で実際に1秒間に起こっているdynamicsをsimulateするには、大体100CPU yearsほどのリソースが必要だそうです。で、その論文は、実際にそれを実行したという結果でした。
なので、もしD-Waveのマシンを使ってスピングラスの古典dynamicsのシミュレーションが1秒間くらいで実際に出来るなら、それは素晴らしい事のように思います。



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  1. 2014/04/28(月) 10:21:28|
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3月

APSのMarch meetingから帰ってきて1週間ほどたった後、また機上の人に。3月の後半は、こちらの学会に参加するために京都に滞在していました。
http://quantphys.org/NHQIS/top.html

shapeimage_1.png

今回初めて、日本で行われたworkshopに参加させていただいたのですが、とても刺激的で面白かったです。講演中にあれほどたくさんの質問が活発に飛び交うようなworkshopは、あまり無かったかと思います。
今回は、英語で発表するけれど質問は日本語でも受け付けるという和洋折衷スタイルを採用しました。こういうのをすんなりと受け入れてくださる柔軟さこそが、この分野の研究者の魅力のようにも思います。

日本では、「量子情報」というと量子コンピューターや量子暗号の研究だと考えていらっしゃる方がいまだに多いそうですが、世界的に見るとそういう伝統的な研究が流行していたのは10年以上も前のことなんですよね。
それが原因なのか、日本では世界的に最先端の研究テーマをなさっている方々がしかるべき評価を得ないまま、各大学で別々に活動しているような気がします。
けれどこのworkshopでは、日本人で(広義の)量子物理で活躍されている研究者の方々を一カ所に集めることが出来たわけですが、organizerの皆様の尽力無しには不可能だったかと思います。


パサデナに帰ってきてからは、論文を一つarXivに投稿しました。

http://arxiv.org/abs/1404.0457

量子情報というよりは、量子情報にインスパイアされた物性論の論文という感じです。とてもシンプルなアイデアだし、意外性もあって面白いんじゃないかなと思います。
個人的には、数値計算を含めた初めての論文であるのと、ほんの少しだけど実験物理的な視点も入れられたというあたりに、成長があるのではと思っています。

fig_phase.jpg


この結果自体は、11月頃にSherbrookeを訪問した時にinformal seminarで話しているし、2月にSquintでもトークをしています。
もっと論文を書く作業を効率化して、素早くできるようにしたいなと思いました。

  1. 2014/04/06(日) 16:58:07|
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