Rouge Tea Party @Caltech

Caltechで理論物理の研究をしています。

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11月中旬

Orfordというモントリオールから1時間半ほどの小さな町で行われた研究会に参加しました。カナダ全体の研究をとりしきっている(?)、CIFARという機関が主体となって企画しているものだそうです。

CIFAR自体は15分野ぐらいに分かれているのですが、LiteratureやBiologyに並んでQuantum Informationが1分野になっているとのことで、カナダの量子情報への本気度が見て取れます。
半年に一回カナダの各大学から25人程度の固定メンバー、それに毎年5人ほど外の国からゲストを呼んで来て話をしてもらうという催しのようです。
僕は、今回のオーガナイザーの一人であるPatrickと個人的に仲良くさせてもらっているという縁もあって、ゲストスピーカーとして招待していただきました。

中規模の人数で参加者をきっちりと選んでいる研究会なので、トークの質はどれもとても高くて、勉強になりました。
Caltechの元同僚や、知り合いの研究者の方々にも久しぶりに会えて、そして、話してみたかった研究者にも会う事ができて、とても良かったです。
また、外部アドバイザーとして、ノーベル賞受賞者であるレゲット氏、東京大学の樽茶先生もいらしており、短い時間ですがお話も出来て楽しかったです。


今回改めて思ったのですが、僕はこの分野の若手(non-faculty)の中だと5本の指には入るだろうけれど、1番手2番手ではないなあということです。
1番手2番手は順不同で、MITとCaltechの時の同僚2人(1つ上と1つ下の学年)かなと思いますし、もっと頑張らないといけないなと思いました。
2人が持っていて僕が持っていないものは明確なので、その辺は自分次第で変えて行ける所なのかなとも思います。それと、やっぱり僕の目指すべきロールモデルはPatrickかなと思いました。

アメリカは、3番手だと職が無いですし!!

photo_201311180240404aa.jpg

さて個人的に一番興味深かったのは、TroyerによるD-Waveマシンの検証です。状況をまとめると。

*カナダのD-Waveという会社が「量子コンピューターを開発した」という発表をしています。

*けれど世の中の大半の研究者は、D-Waveマシンは恐らく量子コンピューターと呼べる代物ではないと思っています。

*世間一般の人々はD-Waveの発表を信じて、「正統な研究者たちからの批判は、D-Waveというダークホースの成功に対する嫉妬であると」いうストーリーとして楽しんでいるようです。

で、一番大切な問題は、実際にD-Waveマシンが量子コンピューターなのかどうなのかという事ですが、僕には正直よくわかりませんし、世の中の研究者たちもよくわからないと考えているようです。
その理由は非常に単純明快で、D-WaveがD-Waveマシンを用いた実験データーを一切公表しないからです。

唯一の例外としてD-Waveマシンにアクセスする方法は、15億円を払ってマシンを借りてくることなのですが、マシンを実際に開いてみる事は禁止されていて、マシンのインプット以外のパラメーターを変えることは不可能で、マシンの設定温度さえ変えられないとのことです。
これはマシンを借りて来る際の契約なので、これを破るとD-Waveに訴えられる可能性があります。この状況はちょっと常軌を逸しているな、と個人的には思います。

IMG_1093.jpg

ETHのTroyerは、D-Waveのマシンを古典計算機でシミュレート出来るかという点から、その量子コンピューターとしての能力を検証しようとしています。
僕の理解では、「何らかの量子的な現象がマシンの中で起こっていることには間違いは無いが、それが計算のスピードアップに繋がっているという確証は無い。」という事です。
ただ、余りにも変えられるパラメーターが少なすぎるために、検証自体は非常に困難だとの事です。
夕飯の席で聞いた所、元々は、「iPhoneでD-Waveマシンをシミュレートできるアプリを作って、売り出そう。」というジョークから始まったプロジェクトのようです。


ちなみに、D-Waveを積極的に批判しているのは量子情報の理論を研究している人々が大半で、D-Waveという会社が量子コンピューターを製造しようとする事(すなわち量子情報の実験の研究)に対して嫉妬する理由は全くありません。
むしろ普段から、「量子コンピューターなんて出来もしないのに、その理論を研究して何になるの?」と言われている人たちなので、むしろ応援したい気持ちの方が大きいはずです。
彼らがD-Waveを批判しているのは、この会社のやってきた行為があまりにもモラルから逸脱しているが故の、正義感から来る批判です。

僕個人としての心配は、今騙されている(であろう)世間一般の方々も真実に10年後には気が付くだろうということです。
そして、真実が露見した時に批判されるのはD-Waveではなく量子情報の研究者全体です。
「量子コンピューターが出来ると言っていたのに、全然出来ないじゃないか。研究費を取って来るために研究者は平気で嘘をつく。」と、批判されている様子が目に浮かぶようです。
とある高名な研究者の方の、「Poor investors...(かわいそうな投資者たち)」という言葉が全てを物語っているように思います。
研究者からのD-Waveに対する批判は、正義感と世間一般の人たちへの誠意から来るものであって、嫉妬とは180度反対の感情から来ているものです。


結局の所、D-Waveが今まで向けられて来た数々の批判に対して、明確な返答を一切してこなかったという所に問題が有るかと思います。
そんな状況である以上明確な批判もサポートもできないですし、「量子コンピューターが出来た」という話題で一儲けしたい人か、「正義感からD-Waveを批判する人」以外は、特に気にかける話題ではないのかなあと思いました。

僕個人としては、頭のおかしな人たちと関わると面倒な事になるから、なるべく距離を取っておこうかなという感じです。

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  1. 2013/11/18(月) 09:25:48|
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11月上旬


東京に一瞬だけ滞在したので、日本でしか出来ないような事をしました。

1)新宿御苑に言の葉の庭の聖地巡礼。折よく雨も降ってて、良い雰囲気でした。

2)劇場版魔法少女まどかマギカ。ほむらさんのガチレズっぷりが増していました。

3)一人カラオケ。これは、日本の伝統文化です。

4)六本木で夜遊び。バーで横のアメリカ人がPhysics PhDだったので、色々と案内&ごちそうになりました。

IMG_1003.jpg

とある方の訃報。お会いしたのは3、4回ほどで、あちらが僕の事を認識していたかは定かではない、というか覚えてなどいないとは思うのですが、当時高校生だった僕にはとても眩しい存在に見えたのを覚えています。

その時は、「才能」というものがこの世の中に存在するのであれば、この人のために存在している概念なのだろうな、と思っていました。ご冥福をお祈りします。

IMG_1029.jpg

さて、今回の旅行でマイル会員のレベルが、プラチナ(one worldの2段階目)になりました。課金厨の末路です。

今週は街中で、あまりインターネット接続の無い場所を転々としながら働いていました。普段どれだけ集中してないか、よくわかりました。何にせよ、考えてみたい研究テーマがたくさんあるのは良い事です。

旅行中に数値計算を回していたら、iMacがクラッシュしたみたいで残念です。やっぱりTerminalを20個も開いて計算してたのがいけなかったのでしょうか。



ビザの方のゴタゴタがあって、アメリカ再入国にリスクが伴うので、帰国してくる便を5日ほど遅くしてもらいました。

まさかMITに書類を送って(金曜日に到着)、その後、担当部署に着いたのが水曜日とか、ほんとありえないし。。。

小さな事でも逐一自分で電話やメールをして催促しないといけないのだと、改めて思い知りました。






  1. 2013/11/11(月) 13:29:32|
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